[伝説] 大善坊と大団坊 (2)

 次いで大団坊が飛んでみると、相手の成功を見て動揺したのか、天狗岩の手前の湖岸に落ちてしまう。
 再び挑戦しようと立岩の頂上に立ち上がった大団坊に向かって、大善坊が腹を抱えて嘲笑する。
  「ワッハッハー、飛べるはずなどなかろー、ワッハッハー」
 しばらくの間、大団坊は天狗岩を睨みつけていたが、飛べそうにないと悟るや、悔しさのあまり立岩を力いっぱい蹴飛ばしたため、岩が割れて一里も離れた裏山へ飛んでいってしまった。
 勝負に負けた大団坊は、2度と姿を見せることがなかった。

 いつしか、飛んで行った先の集落は 「岩下村」、岩その物は 「逆岩(さかさいわ)」 と呼ばれるようになった。
 しばらく経って村人たちが、お堂を建てて薬師如来を祀ったところ、お参りすると力強く元気な子供に育つと云われるようになった。
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