[伝説] 大善坊と大団坊 (1)

 昔々、舘岩の上郷地区は大きな湖になっていて、人間の何十倍も大きな怪物/大善坊(だいぜんぼう)が支配していた。
 ある日、良い水に恵まれている此の地を狙って、流れ者の怪物/大団坊(だいだんぼう)が現れ、大善坊を睨みつけ、
  「この地は今日から、おれ様のものだ、おとなしく出ていけ」
と、木々をも なぎ倒すような大声で威嚇する。
 おとなしく大善坊が渡すはずもなく、
  「わたせ!!」
  「わたせるか!!」
と、しばらく言い争っていたが埒が明くはずもない。
 ようやく、立岩の山頂から向かいの天狗岩の山まで飛んで勝った方が支配することとなった。
 楽に飛べると過信した大団坊は、
  「どうせ飛べないだろうが、先に飛んでみろ」
と挑発したしたので、大善坊が先に挑戦するや、みごと飛ぶことができた。
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