[逸話] 感 恩 碑

 東通村の感恩碑を探したが、判明しない。
 少し離れたところで教えてもらった旧/尻屋小学校のグランドを探しても、それらしき場所すら見つからない。
 再び訪ねて聞いた場所へと、公道から海岸へ通ずる草々に覆われた細道を注意深く進んでも分からず海岸通りに出てしまう。
 草々が生い茂り、軽自動車専用のような幅の細道を折り返す気にならず、徒歩で探すことにした。
 細道の両側には草木が生い茂り、再び集落の公道に戻ってしまった。
 軽トラックが細道に入ったので、慌てて跡を追う。
 程なく先ほどの軽トラックが止まっている所に追いつき、雑草の草刈りをしている人に尋ねた。
 あれこれ会話をすると、案内するから軽トラックの荷台に乗れという。
 少し先の細道の雑草に覆われた側面を、草木など気にせず車ごと侵入すると、雑草に覆われているもののグランドらしき平らな地面の名残が現れる。
 車から降り、雑草をかき分け進む。
 やがて、ツタに覆い隠されたバックネットらしきものが確認できる。
 さらに、背丈ほどの雑草を踏み進む案内人の後を追うと、周りを踏み除いた先に求めた感恩碑が現れた。
 お礼を述べ、写真を撮ったり、碑文を確認する。
 雑草を踏み固めた通路を戻ると、先ほどの軽トラックが待っていた。
 駐車している場所まで送るから荷台に乗れという。
 思いがけない親切心に感動、この地の素敵な人情に出会えた。
 感謝、感謝、清々しい気持ちに満ち溢れ、この地を後にした。